俳句コンテスト『風天(フーテン)』受賞作品発表!

葛飾柴又寅さん記念館では、なつやすみ企画「旅と遊びと寅次郎」と連動し、俳句コンテスト『風天(フーテン)』を開催しました。
「旅」をテーマに全国から約2,632句もの作品が寄せられ、旅先での風景や出会い、別れ、ふと心に残った瞬間など、それぞれの「旅」を詠んだ多彩な作品が集まりました。
俳号「風天」を持ち、俳人としても数多くの句を残した渥美清さん。
その名を冠した本コンテストでは、
特別審査員・夏井いつき先生に選考いただき、受賞作品が決定しました。
ここでは、数多くの投句の中から選ばれた受賞作品を発表いたします。
〖俳句コンテスト『風天』受賞作品〗
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《グランプリ 1句》※副賞 男はつらいよ55th セイコー腕時計
野の梅に呼ばれたような途中下車 井上真実
【夏井いつき先生 選評】
自由を愛する寅さんの生き方は、まさに人生の「途中下車」です。手入れされた華やかな梅園を訪ねるのではなく、野にひっそり咲く梅の香に「呼ばれたような」気がして寄り道をする。そこで名もなき人々と出会い、ささやかな日々の営みの尊さに触れる。「野の梅」は、寅さんが憧れ続けた素朴な市井の暮らしのように、静かに香り立っています。
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《準グランプリ 2句》※副賞 寅さん記念館限定 寅さん日めくりカレンダー
二等車の小さきテーブル大夕焼 渥美こぶこ
【夏井いつき先生 選評】
「二等車」という響きが懐かしい一句。「小さきテーブル」という如何にも昭和の匂いのするモノと、何ものにも縛られない自由の象徴のような「大夕焼」。その対比もさりげなく巧みです。大夕焼の彼方へ一人旅立ってゆく寅さんの姿が浮かんでくるかのようです。
住み込みの仲居の訛鳥渡る 本田英夫
【夏井いつき先生 選評】
寅さん映画にたびたび登場する、健気に働く女性たち。それを代表するかのような「住み込みの仲居」さん。「訛」の一字には郷愁も滲みます。どこへでも気ままに行ける寅さんと、故郷へ帰れぬ女の対比が、季語「鳥渡る」に重なり、静かな余韻となって響きます。
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【風天(フーテン)賞 1句】※副賞 書籍「風天 渥美清のうた」大空出版
とらの冬ほれてほれられまたひとり とらけん
【夏井いつき先生 選評】
「ほれてほれられ」は、台詞が口をついて出てきたような一句ですが、「またひとり」に寅さんの孤独が端的に描かれています。人に惚れ、人に別れてまた旅に出る。そこに、寅さんの人生の単純なまでの尊さがあります。上五「とらの冬」の味わいも一入の作品です。
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【佳作 10句】※副賞 俳句手帖
旅に出る力のこして草を刈る 藤井美智子
右肩に羽織る夏シャツ長万部 鈴木麗門
啓蟄やトランクに貼る千社札 三月兎
たこやきに並ぶ梅田や年の暮 あねご
山粧ふ今の終電だつたのか 巴里乃嬬
土佐の月ちんちまんまのお茶漬けで 板倉肱泉
改札は海のいりぐち夏帽子 幸田梓弓
ノンラーの舟傾けて売るバナナ 深山むらさき
旅鞄小さき女や緋連雀 片野瑞木
柴又の三日にあをきりんご飴 六浦筆の助
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【入選 30句】※副賞 なし
一人たび七千発の逗子花火 愛香
晩夏光ひとりづつ抜け一人旅 岡一夏
春月や絵本入れたる旅鞄 星月彩也華
旅終わり翅を閉ぢれば天道虫 久信田史夫
民宿の襖赤本解く明かり しみずこころ
望郷やはんかちやはらかく畳む 髙田祥聖
春告草や甘き誘ひの吐玉泉 関燈翠
点と線読みかけ冬のどんこ旅 俄雨
茜草館長さんもお見送り ゴンちゃん
夏休みポンポン船で子らが行く 猫ばあば
白南風や読谷ブルーのチャペルへと 井上きうい
歩き出す風にふかれて蝉の歌 マコト
秋時雨写真の妻と善光寺 山野辺裕美
絵葉書にわが名を書きぬ麦の風 河埜スミヰ
春風るらるらすべてをナビのせいにして 里山子
櫂の音や雲と蜻蛉に追い抜かれ 池之端モルト
旅立は風呂屋帰りや風疼く 小谷徹
鈍行のひと駅で食うあなご飯 筈谷美保
とらの冬かばんひとつできたみなみ ひな
お土産のオルゴール鳴る夜の秋 小田嶋隅雀
星祭寅さん旅に逝きしまま 横森宏子
花筏別れたかぎりは振り向かぬ 土師康生
林檎パイ置く船窓の岩木山 斎藤マカロン
旅の月靴は知ってる帰り道 のんちゅらす
冬茜終着近きキロポスト 一桃
走梅雨二か月先の旅支度 若松朋也
竜天へ寅はふたたび旅に出る 西村小市
駅弁に草蜉蝣の吹かれ来し おかめ
夏の星臨時列車の硬き席 みづちみわ
蚊遣り香うたた寝分の灰の跡 永月俊
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なお、受賞された皆さまには、副賞を順次お送りいたします。
約3,000句に込められた、皆さまそれぞれの「旅」。
その一句一句から、
旅の風景や人との出会い、心に残るひとときが鮮やかに伝わってきました。
たくさんのご応募、本当にありがとうございました。
またいつか、皆さまが詠む新たな一句にお会いできることを楽しみにしております。



















